症例報告

慢性疾患

57歳 男性 右臀部から右大腿部後面にかけての痛みとしびれに対する鍼灸治療

<主訴>

右臀部から右大腿部後面にかけての痛みとしびれ

<現症>

  • 2022/3/10に痛みが出現。
  • 動作開始時や歩行時に右臀部から右大腿後面にかけて筋の張り感が現れ、次第に痛みやしびれが出る。
  • 2か月ほど治療を続けたが痛みがとり切れなかったため鍼灸施術を促し施術を受けることになる。
  • 整形外科に受診しレントゲン撮影、変形性腰椎症および脊柱管狭窄症と診断を浮ける。

<検査>

  • 腰部前屈・回旋・側屈(-)後屈(+)やや痛みあり、ケンプテスト(-)
  • 歩行時に痛みとしびれが出るが、歩行距離に制限はなし
  • 基本的に柔軟性に乏しく、身体が硬い
  • 筋緊張が肩背部~腰部にかけて強い

<評価>

腰部脊柱管狭窄症の診断を受けているが、後屈動作で痛みがあるもののケンプテストは陰性、間欠性跛行も認めないため、腰部脊柱管狭窄症からの影響は今のところ除外できる。
変形性腰椎症からの影響が強いのではないかと考える。

<施術>

  • 変形性腰椎症により神経の圧迫が考えられるため神経血流促進、周辺の筋緊張緩和と除痛を目的に施術を行う。施術は週1回の計7回を目標に行う。
  • 肝兪・腎兪・大腸兪 L2/3、L4/5 夾脊穴 への置鍼

<経過>

▼初回(令和4年5月2日)
施術後しびれに変化はなかったが、下肢後面の張り感は軽減
セルフケアで腰部の運動(仰臥位で膝を立て左右に倒す)とテニスボールを使用しての筋膜リリースを勧める

▼2回目(令和4年5月9日)
前回施術後から大きく変化はないが、少し状態に変化あり
⇒痛みを忘れる時間帯が多くなり、しびれも軽減している
【施術】
痛みが出た部位を中心に置鍼 (腎兪・大腸兪・膀胱兪から夾脊穴狙い 右臀部圧痛点)

▼3回目(令和4年5月16日)
経過はかなりいい様子。
動作開始時や歩行時など前回出ていた痛みやしびれはほとんど気にならなくなる。
前後屈など動作の柔軟性が初回よりUP。

▼4回目(令和4年5月23日)
経過良好。
痛み・しびれの出現頻度が8~90%減少。
長時間座位を保持した後少し痛みあり。
頸椎、胸椎の動きを意識した体操を指導。

<考察>

現在も施術継続中だが、初回以降順調に痛みやしびれの軽減していることから、夾脊穴を狙い神経血流を促すこと周辺筋の緊張を緩めることで除痛としびれの軽減に繋がっていると考える。今後も経過を見ていく必要はあるが、少しずつ施術間隔を開けながら、最終的にはメンテナンスに持っていきたい。

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