症例報告

慢性疾患

女性 左肩挙上時の痛みに対する鍼灸治療

<主訴>

左肩挙上時の痛み

<現症>

  • 2022年4/9に左肩に痛みが出現。
  • 翌日(4/10)に肩・腕が挙げられないほどの痛みに増強。ロキソニンを朝夜2回服用し、痛みは8割くらい抑えられている様子。当院に来院されたのは痛みが出だして4日後(4/12)。
    症状に大きな変化はない。

<検査>

  • 左肩屈曲・外転(++)自動運動困難。他動運動で90度まで可 
  • 結滞動作、結髪動作困難 ほとんど動かせない。
  • 安静時の疼痛があるが痛み止めを朝晩服用しているので、睡眠はとれているとのこと。
  • 熱感、腫脹は認めず。
  • 左膝を負傷し、しばらく松葉杖を右手で使用しながら左手で荷物を持つ機会が増えたためそれも痛みの引き金になった可能性も考えられる。

<評価>

  • 左肩関節周囲の動作時、安静時の痛みが強いため、肩関節周囲炎と判断。
  • 症状が強いため、検査が困難なため、まず除痛と鎮静を目的に施術を行う。

<施術>

  • 左を上にして横向きに寝た状態で、鍼施術を行った。
  • 左肩関節周囲の圧痛部位と経穴(肩井・曲垣・天宗・肩髃・曲池・合谷)に置鍼
    施術後わずかに自動運動が出来るようになるが、痛みは大きな変化なし。
  • 日常生活では、腕の重みで肩関節周囲の腱や筋肉に負担がかからないような姿勢や過ごし方を指示。

<経過>

▼2回目(4/14)

  • 自動運動での肩の可動域は前回より向上している。他動運動100度くらいで痛み出現するが前回より痛みは少しまし。
  • 施術は前回と同様に行う。施術後、可動域はあがり、痛みもやや軽減した様子。

▼3回目(4/18)

  • 肩の挙上は120度くらい外転も150度くらいまでスムーズに行えるようになる。
    洗濯物もゆっくりではあるが干せた。
    この日も施術は同様に行った。

▼4回目(4/23)

  • 日常生活動作はゆっくりではあるが行えている。痛み止めは飲まなくても過ごせるようになる。
  • 結滞動作、結髪動作もスムーズに行えているが、姿勢(背中が硬い)の影響もあって可動域はあまりよくない。
  • 施術は、この日からうつぶせの状態で行い、肩背部から腰部にかけての筋緊張緩和と柔軟性獲得を狙い施術を加える。

▼5回目~8回目(5/7~20)

  • 経過はよく、肩の痛みはほぼ軽快。
  • 頚肩部から腰部の施術は継続中。

<考察>

肩の痛みが強い間は除痛と鎮静を目的として施術を行った。2回目の施術以降、痛みの状態、他動運動での可動域の評価の中で施術回数を重ねるごとに状態は良くなっていった。肩の症状は、長引くことが多いため、その旨を伝えてはいたが、今回の左肩の症状は比較的早く軽快した。
肩関節周囲の疼痛が強く出ていたのは、炎症性の可能性が高い。疼痛が軽減する中で、関節可動域の向上が見られ、筋力(抵抗)もしっかりしていたので、関節由来の痛みではないと判断。
少し前に左ひざを痛め、松葉杖を右手で使用した歩行をしていたため、荷物を左で持つ機会が増えたことも影響として考えられる。
姿勢も悪く頭位が前傾しているので、肩は内巻きになり、背部の筋が前方へ引っ張られているため、肩甲骨や胸椎の動きが低下しているのも影響として挙げられる。
今後は痛みが再び出現しないように継続施術を行っていく。

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  • 女性疾患・不妊治療・マタニティーケア 生理痛・産前産後の不調など
  • スポーツ外傷・障害 肉離れ・脱臼など
  • 野球のけが 野球肘・野球肩など
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