脊柱管狭窄症は高齢者に多く、推定人数は300~500万人と言われています。症状が辛くて悩んでいる方も多くいらっしゃいます。どのようにして脊柱管狭窄症が起こるのか。この記事では、原因や症状を簡潔にまとめ、当院の治療方法も解説します。
まず脊柱の構造をみていきましょう
脊柱とは背骨のことをいい、人間の身体を支えています。その脊柱を構成する一つ一つの骨を椎骨といいます。人間の脊柱は、首の骨(頸椎)7個、背中の骨(胸椎)12個、腰の骨(腰椎)5個、仙骨、尾骨で構成され、緩やかに湾曲しており外部からの負荷や体重による負担を和らげています。
椎骨と椎骨の間には、弾力性のあるゲル状の椎間板があります。椎間板は衝撃を和らげるクッションの役割を果たします。
頸椎、胸椎、腰椎はそれぞれ形が異なり、腰椎はかかる負担が大きいため、脊柱の中で最も大きく幅広い形状になっています。椎骨にはそれぞれ椎孔があり、そこを脊髄神経が通ります。それを脊柱管と言います。
脊柱管狭窄症は脊椎の変形からおこる
脊柱管狭窄症は神経が通る脊柱管が狭くなり神経や血管が圧迫されることで痛みやしびれの症状が現れる病気で、多くの人は加齢による脊椎の変性で脊柱管が狭くなり症状がでます。
その他、椎間板の劣化や黄色靭帯の肥厚、すべり症が原因で起こる人もいます。
好発年齢は50代~80代に多く、女性より男性に多い傾向です。
脊柱管狭窄症の特徴
- 立った状態で歩いていると脊柱管が狭くなる
- 神経がより圧迫されるため下肢のしびれひどくなる
- 足のもつれが生じる
- 50mも歩くことが困難
- 数分休めば症状は消え、再び歩けるようになる
- 腰痛より足に痛みや痺れが出るのが特徴
特徴的な症状として、立った状態で歩いていると脊柱管が狭くなり、神経がより圧迫されるため下肢のしびれひどくなったり、足のもつれが生じたりします。これを間欠性跛行といい、100~200m歩くだけでもこの症状が現れ、きつい症状だと50mも歩くことが困難になる人もいます。
しかし、座って腰を屈めた姿勢で数分休めば症状は消え、再び歩けるようになるのが特徴です。
また、腰痛より足に痛みや痺れが出るのが特徴です。
脊柱管狭窄症が進行すると、しびれがひどくなり麻痺が生じるようになったり、足の感覚異常(熱い・冷たいなど)や、排尿障害などの症状が現れてきます。
当院での脊柱管狭窄症の施術は鍼灸を用います
脊柱管狭窄症に対する治療に関する論文を参考にし、鍼灸を用いて施術を行います。
置鍼した鍼に通電を行い、患部の神経血流の促進、周囲筋の緊張緩和を狙い、痛みの軽減を目指します。
施術は、基本週一回(合計7回)を1クールとしています。施術ごとに状態の変化を確認しながらその後の計画を行っていきます。
脊柱管狭窄症の症例
77歳 男性 脊柱管狭窄症
趣味はゴルフ、月末にはゴルフに行きたい目標がある。
現症
- 30分程度歩行しているとじわじわ痛みが左腰部から左大腿部前面に広がるが休憩すると消失する
- 痛みが出るだけでしびれはない。
- 1日2回痛み止めを服用している。
検査
- 腰部前後屈時痛(-)
- ケンプテスト(+)
- 下肢触圧覚左右差なし。しびれなし。
施術
- 腰部脊柱管狭窄部位L3/4周辺の神経血流改善および、痛みの軽減を目的に施術を行う。
- 腰部夾脊穴、左腎兪、左気海兪、左大腸兪から夾脊穴 に置鍼し併せて通電を行う。
- 2Hz×15分 ※①②夾脊穴それぞれに通電
- 施術は週2日計7回行い症状緩和、改善を評価する。
経過
- ◆初回施術後
前後屈・回旋動作の可動域向上が見られた。 - ◆2回目
前回の施術後翌日に30分程度ウォーキングをしたが、痛みが全くなく驚いたとのこと。
前後屈・回旋動作は前回より柔軟性が出ていた。
左回旋時に左大腿前面に張り感は残っている。 - ◆3回目
すこぶる調子がいい様子で、30分以上歩いても痛みは全くない。
前後屈・回旋動作に大きな変化はない。 - ◆4回目
経過はいい。日常生活に支障はほぼなし。 - ◆5回目~7回目
経過良好。痛みはない。
痛みは全くないとのことで、施術は7回で終了し、いったん経過をみるこ
ととした。月初めから週2回、その後もゴルフも痛みなくプレーが出来て
いると喜ばれていた。
その後は月一回のメンテナンスを行っていく予定
患者さんからいただいたコメント
77歳 男性
どのような症状でお悩みでしたか
左足の膝と腰が痛い。股関節にも痛み、歩くと痛みが出ていた。
施術を受けて変化や感想をお聞かせください
針治療を受けてすぐに良くなり、痛みが無くなった。病院で鎮痛剤を処方してもらった。針治療が効いたと思う。
脊柱管狭窄症でお悩みの方へ
脊柱管狭窄症は国内で300~500万人と推定されています。
好発年齢は高齢者ということもあり、今後さらに増える見込みとされています。
鍼灸施術では、腰椎の変形そのものは改善できませんが、痛みの軽減や症状改善に効果期待できます。
脊柱管狭窄症に対する鍼灸施術の研究や論文も増えてきており、効果が得られている方も増えておりますので、お悩みの方は一度ご相談ください。